医療費を支払ったことのある人の中でもほとんどの人に知らされていない重要な制度の一つに 医療費の減額査定という制度があります。
医療費の減額査定とは、医療費の過払いの返還を受けることができる制度で、平たく言えば、医療費を払いすぎた場合、その分を後で受け取ることができるというものです。
病院・医療機関と健康保険組合・市町村と私たちの3者がこの減額査定という制度に関わっているのですが、なんと平成13年度の診療報酬のうち、不要な投薬や検査などの名目で支払いが認められなかった「減額査定」が約2100 万件、金額にして約1千億円に上ることが分かっています。
これは分かりやすく言えば、患者への過剰請求があったということに他ならず、最大で200~300億の医療費が本来は患者へ返還されるはずであった!ということになります。
ところが、この「減額査定」につきましては、
査定する側/審査支払い機関
査定される側/医療機関
双方でかなり言い分に開きがあります。
その答えは、減額査定の仕組みにあります。
○まず、患者が病院に行きます。そして、医療機関を後にする際、患者は窓口で原則負担分/1~3割の医療費を支払います。
○その一方で、医療機関は医療費の残りの9~7割分の請求書を作成します。その請求書のことを「診療報酬明細書/レセプト」と言います。
○そして、その「請求書/レセプト」を「審査支払い機関/社会保険診療報酬支払基金及び国民保険団体連合会」で査定してもらいます。
○そして、その請求書(レセプト)を人間あるいは機械が計算ミスがないかなどをチェックします。
○そこで、請求書に誤りが発見されるとその請求書は「減額査定」され、各保険者/健康保険組合・市町村つまり、医療費の残りの9~7割を払う側に送られます。
○そして、その保険者から医療機関に支払いがなされます。
○肝心な「減額分」は、政府・健康保険組合・市町村から患者へ返還されます。
ざっと、このような流れになっているのですが、どこかで減額分のお金が止まってしまっているというのが現状です。
その答えは、最後の保険者/政府、健康保険組合などが「減額」があったことを知らせるというところです。なんと、「減額通知」をほとんど実施していないなんです。つまり、これだけ「減額分」がありますよというのを知らせないんです…。
平成10~12年度に総務省が調査した結果によると、調査した 44市町村のうち、「減額通知」を実施しているのはたった10市町村のみ、しかもその10市町村のうち5市町村は医療機関に請求できるという記載がなかった。
また、同時に調査した37機関のうち、「減額分」の返還に応じるとしたのが9機関応じないとしているのが14機関だった。つまり、払い戻す気がないと言っているわけです…。
厚生省の見解としては、保険・医療機関と被保険者の民事上の問題としています。
非常に微妙な話ですが、「減額」を知らされても確実に返還を受けられるというわけではないのが現状です。
しかし、厚生省は保険者である健康保険組合に以下のように勧告しています。
「診療報酬の減額に伴う支払い済一部負担金に関し、減額通知の励行の確保及び診療報酬の減額と一部負担金の返還とに係る手続きの周知を図ること」
言い換えれば、患者である被保険者と保険者・医療機関に「減額分の返還を受ける手続き」について前向きであると言えます。